「eSIMってそもそもどんなもの?」
「SIMカードではなく、eSIMにすることで得られるメリットが知りたい」
このようにeSIMについて聞いたことはあるけれど、まだSIMカードとの違いや特徴を把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、eSIMの特徴やメリット・デメリット、SIMカードとの違いなどを詳しく紹介します。
また、記事後半ではeSIMの開通手続きやeSIMの利用がおススメの人についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
eSIMとは、“埋め込み”を意味する英語「Embedded」がついた「Embedded SIM」から名付けられた略称で、端末内蔵型SIMのことです。
よく目にするカード型の物理SIMとは違い、あらかじめスマホに埋め込まれているため、SIM自体を紛失するリスクがありません。
もともとeSIMは、いわゆるIoT機器向けに考案された仕組みでした。
例えばトヨタ自動車は、車内に設置したときにeSIMであれば長期間の振動に耐えられる点や紛失のリスクがない点から、eSIMの活用を2016年から進めています(*1)。
ちなみに、キャリアや、格安スマホを提供するMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)がeSIMの対応を始めたのは2021年からです。
このことから、eSIMの活用は通信業界以外から普及したことがわかるのではないでしょうか。
ここでは、SIMカードとeSIMの違いを紹介します。
SIMとは、「Subscriber Identity Module」の略であり、直訳すると「加入者識別モジュール」のことです。
SIMカードをわかりやすく表現すると、スマホの契約者情報(識別番号・電話番号・メールアドレス)が記録されているカードと覚えておくと良いでしょう。
SIMカードをスマホやタブレットなどの端末に差し込むことで電話やデータ通信が可能になります。
また、サイズによっても種類があり、お使いのスマホに合ったサイズを選ばなければ、スマホ自体の利用ができません。
SIMカードの種類 | サイズ |
---|---|
標準SIM | 25×15mm |
microSIM | 15×12mm |
nanoSIM | 12.3×8.8mm |
なお現在発売されているスマホの主流は、nanoSIMですので合わせて覚えておきましょう。
SIMカードについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
参考: SIMカードは自分で入れ替えられる!入れ替える際の準備や注意点を解説
契約者の情報が記録されたカードがSIMカードでした。
一方で、eSIMは契約者の情報をカードに記録するのではなく、端末に埋め込まれたチップに記録するタイプのSIMです。
具体的なメリットはこの後紹介しますが、端末内蔵型なので専用のアプリやQRコードなどを使ってプロファイル(契約者情報)をダウンロードすることで、音声通話やデータ通信を行えます。
SIMカードのようにキャリア乗り換え時に端末から端末へカードを差し替える必要もありません。
ここからは、オンラインで手続きができる利便性や差し替えの手間が不要など、5つの観点からeSIMのメリットを紹介します。
SIMカードでキャリアの開通手続きを行う場合においても、オンライン手続きが普及してきましたが、それでもSIMカードが郵送されるまでの間は待ち時間が発生します。
一方で、eSIMであればカードを必要としないためキャリアの申し込みページからWi-Fiのネットワーク環境下であれば、スマホ1台だけで開通を行えるのが特徴です。
店頭に行く必要もなく、最短即日で開通できます。
eSIMは端末内蔵型のSIMのため、物理カードは必要ありません。
SIMカードでキャリアを乗り換える場合、契約したキャリアから送られてくる新しいカードを、お使いのスマホに差し替える必要があります。
一方で、eSIMであればオンラインで手続きが完了するため、面倒なカードの差し替え作業も発生しません。
物理カードはスマホのキャリアを乗り換える際に、新しいSIMカードに差し替える必要があります。
この差し替えのタイミングでカード表面に水分やほこり、汚れなどが付着すると故障のリスクが考えられます。
一方で、eSIMであればそもそも内蔵型なのでわざわざ分解でもしない限りは、水分やほこり、汚れが付着することもないでしょう。
このように、紛失や故障のリスクが少ない点がeSIMを使う利点です。
海外でSIMカードを利用する場合、事前にカードを購入するか、現地で購入したカードをお使いのスマホに差し替える必要があります。
eSIMであれば、海外のキャリアであってもオンラインで手続きができるため、差し替え作業が発生せず海外でも使いやすいのが特徴です。
なお海外でSIMカードの利用を検討中の方は、購入方法や選び方、使い方をまとめた以下の記事がおススメです。
そのほか、SIMカード以外の選択肢として、現在日本で契約中のキャリアから渡航先のモバイル回線を利用できる、povo2.0(*2)の海外ローミング(*3)についても解説しています。
参考:今回別記事で対応中の「simカード 海外」へ内部リンクを設置 参考:海外SIMカードとは?購入方法から使い方まで詳しく解説
*2:オンライン専用のプランなので、お手続き・サポートはすべてオンラインとなります。povo2.0アプリや公式サイトからお問い合わせください。 *3:「povo2.0データ専用」ではご利用いただけません。
デュアルSIMとは、1台のスマホに2つのSIMをセットして、2つの電話番号や通信回線を使える仕組みのことです。
デュアルSIM対応のスマホのなかには、eSIMとSIMカードを両方使える機種もあり、このようなスマホであれば回線ごとに以下のような使い分けが可能です。
もちろん、デュアルSIMのなかには、SIMカードを2枚挿入できる機種もあります。
しかし、eSIMとSIMカードを組み合わせられる機種であれば、SIMカードを2枚必要とする機種よりも、差し替えの手間がありません。
eSIMには、「物理カードの差し替えが必要ない」「紛失や故障が少ない」などのメリットがありました。
利点の多いeSIMではありますが、一方で事前に把握すべきデメリットも存在します。
ここでは、4つのデメリットを解説します。
大手キャリアでは2021年にeSIMをスタートしましたが、すべてのキャリアや機種がeSIMに対応しているわけではありません。
検討しているキャリアがeSIMにどの程度対応しているかどうかを公式サイトで確認する必要があります。
eSIMを契約する際、初期状態では端末と利用者の情報が書き込まれておりません。
そのため、自分でeSIMのプロファイル(契約者情報)をダウンロードして、初期設定をする必要があります。
このとき、プロファイルのダウンロードができず、別端末を使用してQRコードから設定を行わないといけないケースがあります。
その場合は、当然ですが別端末を用意する必要があるため注意しましょう。
eSIMの開通手続きはオンラインで設定を行うため、ネットワーク環境が整っていないと進められない点もデメリットとして挙げられます。
自宅にWi-Fi環境があれば問題ないですが、そうでない場合は、Wi-Fi環境を用意したり、Wi-Fi環境下を見つけたりと準備が必要です。
ここまで紹介した通り、eSIMの開通手続きはすべてオンラインで完結してしまいます。そのため、良くも悪くも基本的には自分で開通手続きを行わなくてはいけません。
苦手意識がない方は良いかもしれませんが、スマホの使い方やインターネットの扱いそのものに不慣れな方にとっては、手続きにハードルを感じる可能性があります。
ここまでeSIMを利用するメリットやデメリットを紹介しましたが、ここからは、利便性の観点からeSIMがおススメの人の特徴について具体的に解説します。
eSIMはオンラインで開通手続きが完結するため、申し込んですぐに使いたい方には特におススメです。
例えば、povo2.0の場合は、申し込み後Wi-Fi環境下であれば、当日中(*4)に開通できます。
「仕事上、どうしても明日までに開通したい」「料金プランの関係で月末に乗り換えたいからスムーズな開通が必要」など、様々なニーズに対応できます。
*4:20時以降にお手続きの場合は、翌日の9時30分以降に開通します。
「プライベートと仕事用でキャリアを分けたい」「通信障害に備えて安定的にネットへ接続したい」など、複数のSIMを同時利用したい方にとっては、デュアルSIM対応機種+eSIMがおススメです。
それ以外にも、スマホの2台持ちを検討されている方は、デュアルSIM対応のeSIMにすることで、スマホが1台で済み2台持ちの負担を軽減できます。
複数のSIMを同時利用する場合、例えば以下のような組み合わせを意識すると、よりおトクにキャリアを利用できる可能性が高まります。
組み合わせ | 特徴 |
---|---|
大手SIM+格安SIM | 補償の手厚さや回線の安定性など大手のメリットを活かしつつ、普段は格安SIMを利用することで料金を抑えられる |
格安SIM+格安SIM | データ通信がおトクなプラン、通話料金が抑えられるプランなど、ユーザーの細かなニーズに応えるプランが用意されている |
「ECサイトで買い物をしている」「サブスクに加入している」など、普段からオンラインサービスを契約している方は、eSIMの手続きでも戸惑いは少ないでしょう。
一方で、対面でサポートを受けないと不安がある方は、手続きがオンラインで完結してしまうeSIMだとハードルに感じるかもしれません。
少しでも不安がある方は、別途手数料がかかる場合はありますが、店舗で開通手続きをサポートしてもらえるキャリアを選ぶと良いでしょう。
eSIMであればSIMカードの差し替え不要で、オンラインで手続きを進められるため、現地でSIMが必要になった場合でもスムーズに開通できるのが特徴です。
SIMカードでありがちな在庫切れのリスクや調達の手間が発生しないのも、スムーズに開通できる要因の一つです。
ここまでeSIMのメリットやデメリット、eSIMがおススメの人の特徴を紹介してきました。
ここからは、開通する際の準備事項について見ていきましょう。
初期設定時にはWi-Fiで通信をする必要があります。Wi-Fiの利用ができる場所で設定を進めましょう。
スマホでeSIMの開通手続きをするときに、パソコンやタブレットなどの別の端末でQRコード®(アクティベーションコード)を表示させてSIMの開通を行う方法があります。
その場合、QRコードを表示できる端末の準備が必要です。
ただしキャリアによっては、スマホ1台だけで開通手続きを進められる場合もあるため、詳細は乗り換え予定のキャリアに確認してみてください。
povo2.0では、eSIMの開通手続きにおいてプロファイルをダウンロードできない場合に、別端末を用意せず利用端末1台で設定を行える「コード入力方式」も提供しています。
povo2.0のeSIM開通手続きの手順は、以下のリンクからご確認ください。
eSIMの開通手続きを行う前に、eSIMに対応している機種をお持ちかどうか確認する必要があります。(新機種に買い替える場合も同様。)
povo2.0において、eSIM対応の動作確認がとれている製品は、2024年8月21日時点で以下の通りです。(*5)
■iPhone
■Android(Google)
その他のeSIM対応端末に関しては、以下のページを参考にしてください
*5:参考 「対応端末(動作確認端末)」(povo2.0)
SIMロックとは、特定のSIMしか使えないようにスマホに制限をかける仕組みのことです。
以前は契約中のキャリアにおいて、端末代金の未払いを防止するために、SIMロックがかけられていた時期がありました。
しかし、2021年8月に改正された「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」によって、2021年10月1日以降に発売された機種は原則としてSIMロックは解除されています。
なお、2021年9月以前に購入したスマホをお使いの場合は、SIMロックを解除しておかないと、他社のSIMを利用できません。
SIMロックの解除方法や解除が必要な端末かどうかは、契約中のキャリアにお問い合わせください。
SIMロック解除にかかる料金ですが、インターネットからであれば手数料無料で解除ができます。(*6)
*6:電話や店舗で解除する場合は、手数料がかかる場合があります。 参考: SIMロック解除とは?メリットやデメリット、解除方法を詳しく紹介
プリペイドSIMとは、特定のキャリアと契約手続きをすることなく利用できる買い切り型のSIMのこと。
通常のSIMカードでは、キャリアでプランを選び、本人確認書類やお支払いに使用するクレジットカードなどを提示して契約します。
一方で、プリペイドSIM(データSIM)の場合は、決められたデータ容量や有効期限のSIMを任意で購入する買い切り型なので、これらの審査は必要ありません。(音声通話SIMの場合は本人確認が必要。)
面倒な審査や手続きなしで、まさにプリペイドカードのような使い方ができるのがプリペイドSIMというわけです。
SIMについて、いまいち理解できない方は、以下の記事も参考にしてみてください。
プリペイドSIMとは、特定のキャリアと契約手続きをすることなく利用できる買い切り型のSIMのこと。
通常のSIMカードでは、キャリアでプランを選び、本人確認書類やお支払いに使用するクレジットカードなどを提示して契約します。
一方で、プリペイドSIM(データSIM)の場合は、決められたデータ容量や有効期限のSIMを任意で購入する買い切り型なので、これらの審査は必要ありません。(音声通話SIMの場合は本人確認が必要。)
面倒な審査や手続きなしで、まさにプリペイドカードのような使い方ができるのがプリペイドSIMというわけです。
SIMについて、いまいち理解できない方は、以下の記事も参考にしてみてください。